という人向けの記事です。
確定申告の時期がいよいよきましたね。準備のほどはいかがでしょうか。
今回は、農家のあなたへ、確定申告のポイント & どういう支払いが経費になるかについてお話します!
僕が今住んでいる高知は農家の方が多いので、ぜひ参考にしてください!
農家(個人事業主)はなぜ確定申告が必要なの?
法人化していない農家は個人事業主というくくりになるため、会社に勤めているわけではありません。いわば経営者です。
そのため、給料から天引きで税金が引かれるわけでもないため、自分で自分の払う税金を申告しなくてはならないんですね。
確定申告の仕組み(会社員との違い)
一般的なサラリーマンの場合、給与所得という種類の収入になるので下記のグラフのようかたちになります。
グラフでいうと黄色い部分(課税所得)に税金がかかりますよという仕組みです。給与所得控除は年収に応じて決まるため、税金もほぼ年収によって割り出されます。
で、次に農家などの個人事業主の場合はというと
先ほどの、給与所得控除がない代わりに「経費」を落とすことができるようになります。
サラリーマンの場合は給与所得控除で決められた金額しか落とせませんが、個人事業主は経費なので、落とした分だけ税金が軽減されるという仕組みになっています。
確定申告の方法
じゃあどうやって確定申告をするのかというと、基本的な手順はいたってシンプルです。
- 経費(領収書やレシート)を集める
- 計算しながら帳簿に打つ
- 申告時期に帳簿を元に経費を計算する
- 所得控除も計算し、経費とあわせて売上から差し引き「課税所得」を出す
- あとは計算して所得税を決定する(住民税は自動的に計算される)
こんな感じ。
細かい書類の記入方法は都度ググるか、一番いいのは税務署の職員に聞くことです。
ただ、税務署では節税に関しては教えてくれないため、本当にちゃんとやりたいなら会計ソフトや税理士を使うことをおすすめします。
家事消費した場合の売上
経費をお伝えしていく前に、まず
農業所得の確定申告でまず注意しないといけないのが、家事消費です。
作った農作物を出荷せず自分で消費すること。自分で消費した場合でも売上として申告が必要になります。
売ってもないのにどうやって申告すればいいの?と思われるかもしれません。
基本、出荷した場合と同じ金額を売上として申告するのですが、家事消費の場合は特例があります。
販売金額の70%で申告してもいいという特例です。
りんごを1個100円で出荷していた場合を例に説明しましょう。
本来であれば、1個100円 ✖︎ 食べた個数を売上として申告することになりますが、特例を使うと1個100円 ✖︎ 食べた個数 ✖︎ 70%で申告してもいいことになります。
農家の方の節税方法
農業所得は、売上ー経費で計算されます。
節税のカラクリを説明すると
農業所得を低くする
↓
「売上ー経費」の金額を低くする
↓
売上を少なくする or 経費を多くする
つまり、農家の方が節税をするとなると「売上を少なくする or 経費を多くする」どちらかの方法で確定申告をすることになります。
ここで、「売上を少なくする」ことは脱税になりますので、そもそもの選択肢としてあってはいけません!
そうなると方法は、「経費を多くする」の1択になります。
ここで「経費を多くする」ことは、払ってもいない金額を経費に含めることではなく、払ったものの中で経費になるものを学び、きちんと節税しましょうということです。
【メモ必須】農家の方が経費にできるもの一覧!
ではここからが本題!
農家の方は、どういうものが経費になるのでしょうか。具体的に説明していきますね。
1.租税公果
- 固定資産税
- 自動車税
- 不動産取得税
- 組合費
- 消費税※
これらは全て経費として計上可能です。この場合、それを支払ったなんらかの証明になるものをとっておくようにしましょう!
消費税は、【消費税の課税事業者】として消費税の申告をしている方が対象です。さらに経費として落とせる消費税は、その年分に払った消費税です。
例えば、平成30年分の消費税は平成31年になってから申告して支払うので、平成31年分の経費として申告することができます。平成30年分の経費にはならない点に注意しましょう。
農業の仕事に関わる税金は経費にすることができます。ただし、次の税金は経費にならないので注意しましょう!
- 所得税
- 住民税
- 延滞税
- 加算税
- 罰金
さらに、国民健康保険・国民年金・介護保険など社会保険の支払いは、経費ではなく社会保険料控除から引くことになります。
「何気なく支払っている税金が経費になる」ということを知っているのと知らないのとでは、所得税の金額もかなり変わってきます。
経費になる税金をしっかり理解して、確定申告をしましょう!
2.種苗費・肥料費・農薬費・諸材料費
農作物を育てるために買った
- 種、苗代
- 肥料代
- 農薬代金
- ビニール代金
などが経費になります。買った時のレシート、領収書の金額をそれぞれまとめましょう!
3.農具費
機械・設備などのうち、
- 1年経たずに使えなくなったもの
- 買った金額が10万円未満のもの
が、農具費として経費になります。
ただし、10万円を超える機械・設備などは、減価償却費の計算対象になるので、農具費に含めることはできません。
4.修繕費
農業用の
- 機械
- 自動車
- 建物
- 施設
などの修理の際に支払った費用が該当します。
さらに、農業用の車の車検代も経費に含まれます。
5.動力光熱費
- 電気料
- 水道料
- ガス代
- 灯油
- ガソリン
など。
注意する点は、家の水道光熱費は経費にならないところです。
家と農業との支払いが別になっていて、請求書が別々に届く場合は問題ありませんが、まとめて請求書が届いている場合は、家と農業の請求書を分けて申告しないといけません。
6.作業用衣料費
作業用の
- 衣服
- 長靴
- 帽子
- 手袋
- 地下たび
などが経費になります。一応私服は経費にしないよう注意しましょうw
7.減価償却費
10万円以上の機械・設備を買った場合は、減価償却費の計算をすることになります。
家、車、パソコンなどは、日が経つにつれ価値が下がってきます。減価償却とは、その下がった価値の分を計算して費用にしましょうって考え方です。
個人事業主の方は、「定額法」で減価償却を計算することになります。
※申請書を出すと、「定率法」での計算もできます。
定額法は、買った代金を毎年同じ金額経費にする計算方法です。
買った金額 ✖︎ 償却率※ ✖︎ 仕事に使った期間(月数) ✖︎ 仕事で使用している割合
《※償却率の求め方》
買ったものの耐用年数を調べる(耐用年数表)→耐用年数から償却率を調べる(償却率表)
例)軽自動車を7月に100万円で買った場合
100万円(買った金額)× 0.25(償却率)× 6ヶ月/12ヶ月(仕事に使用した期間) × 60%(事業割合)=75,000円(減価償却費)
8.荷造運賃手数料
出荷するときの
- ダンボール
- コンテナ
- ひも
- ガムテープ
- 運賃
- 手数料
なども経費ですね。
9.雇人費
- 従業員
- 日雇い労働者
- 短期就労者
など、仕事を手伝ってもらった方へ払う給料が経費になります。ただし、親族へ払う給与は雇人費にはなりません。
親族の給与は、白色申告者であれば専従者控除、青色申告者で届出を提出している方は青色専従者給与として引くことができます。※専従者届を事前に税務署に提出しないとダメです。
ここで、給料を払ったときに注意しないといけないのが源泉徴収です。
源泉徴収は、税務調査で突っ込まれることも多いと聞きますので、給料を払った場合は「源泉徴収をする」と覚えておきましょう!
10.利子割引料費
農協などからお金を借りて、農地、機械を買った場合、支払った利息が経費になります。
元本は経費になりません。利息のみが経費になる点に注意です。
11.地代・賃借料
農地や施設を借りて仕事をしている場合、支払っている代金は経費になります。
12.通信費
仕事で使っている
- インターネット料金
- スマホ代
- ポケットwifi料金
- ホームページのサーバー、ドメイン代
が経費になります。
ただし、仕事で使っている部分だけが経費になるので、プライベートと仕事両方で使っている場合は、仕事とプライベートで分けましょう!
13.広告宣伝費
- 雑誌や本など紙での広告
- Facebook・twitterなどインターネット上での広告
などで支払った広告代は経費になります。
14.旅費交通費
仕事の関係で出張した場合
- 電車代
- バス代
- タクシー代
が経費になります。
さらに、セミナーなどの研修に参加する場合は、飛行機代・宿泊代も経費として落とせます。
15.書籍代
- 農業新聞代
- 新聞代
- 雑誌代
農業の勉強のために買った新聞、図書、雑誌代が経費になります。ただし、仕事と関係のない本・雑誌・マンガなどは経費にはなりません。
さらに、勉強のために参加したセミナーなどの研修費も経費になります。
16.保険代
農業用の車にかけている
- 自賠責保険
- 任意保険
が経費になります。
仕事とプライベートの両方で使っている場合は、使用割合に応じて仕事とプライベートに分けて、仕事の部分のみを経費にしましょう!
17.接待交際費
仕事上おつきあいのある取引先との
- 飲み会代
- 接待ゴルフ代
- 冠婚葬祭
などを経費にすることができます。
ただし、仕事と関係ないプライベートでの支払いは、経費にすることができません。
領収書、レシートはきちんと保管
「お金を払ったから経費になる」という考えは間違っています。払った証拠である、領収書・レシートをきちんと保管して初めて経費になります。
領収書・レシートは、帳簿と一緒に7年間保管しておきましょう。
税務署から何か聞かれた時に見せれるようにしておけば、問題ありません。
領収書・レシートがない場合
経費の中には領収書が出ないもの、領収書をとり忘れたものなどがあります。
そういうものは別の証明書か自分で作ることも可能です。
例1:ETC
高速道路にETCカードを挿入して乗ると、普通に手渡しで料金を払う時にもらえる領収書(レシート)がもらえませんよね。
そのため、わざわざETCを持っていたとしても普通に料金を払うようにしている人もいます。ただ、実際はそんなことをしなくても経費として計上できる方法があります。
利用明細を確認しましょう。ETCはクレジットカード払いのため翌月に紙の明細でクレカの支払い明細書が届くはずです。それを領収書がわりに保管しておけばOKです。
例2:直接取引などで単純に領収書がもらえない場合
農協などを介さず直取引の場合や、うっかり領収書をもらい忘れた時などは支払証明書を使えばOKです。
支払い証明書に自分で日付、金額、支払い先店舗または氏名、経費項目を記入すれば領収書と同じように証拠物として取り扱いが可能になります。
ホームセンターか、ネットでも購入可能です。
他にも税金を安くする方法はたくさん!
実は、経費を落とすこと以外にも、税金を安くする方法はあります。
実際の確定申告では経費をたくさん落としすぎると税務調査に入られて罰金を取られるケースが多発しています。経費で一概に税金を安くしようというのも、少しリスクも伴うわけですね。
なので僕からは、できるだけ経費を落とさない方の確実な節税方法を活用することをお勧めします!
一部紹介します。
①ふるさと納税
皆さんご存知ふるさと納税です。ふるさと納税は基本的に納税した分住民税が安くなり、さらに少しだけ所得税も安くなるというとっても魅力的な制度です。
例えば3万円をふるさと納税したとすると、まずは住民税が28,000円安くなり、なおかつ所得税は最低でも1,500円節税できます。
- もともと住民税が非課税であれば納税しても税金は安くならない
- 上限額を確認してから納税しよう!→上限額目安1覧票
ふるさと納税の計算方法ややり方など、詳しく知りたい方はふるさと納税ってどのくらい節税できる?サルでも分かる仕組みと限度額よりどうぞ。
税金初心者でもわかるよう、かなり噛み砕いて説明しています。
②青色申告特別控除
青色申告という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
実は確定申告の種類は、大きく次の3つに分けることができます。
- 白色申告
- 青色申告10万円控除
- 青色申告65万円控除
1つ目の白色申告は一番オーソドックスな申告で、自分で申告している人のほとんどがこの申告です。
青色申告10万円控除、65万円控除という申告をすれば何が変わるかというと、単純に税金が安くなります。
一般的に青色申告10万円控除は住民税・所得税あわせて15,000円の節税。
青色申告65万円控除は97,500円の節税効果があります。
年収や控除額によって違いはありますが、少なくとも税金は安くなります。無料で同じように申告できるため、青色申告を活用しましょう。
- 青色申告をする場合、10万円控除でも65万円控除でも前年の3月15日までに事前申請が必要
- 青色申告65万円控除をする場合複式簿記をつけ、貸借対照表、損益計算書を提出する必要がある。
▼青色申告のセミナーに参加したい方はこちらも確認しときましょう!▼
手続きが面倒という方は会計ソフトの使用もオススメ!
以上、説明した経費、事務手続きを経て確定申告をしていくことが必要なのですが、やはり面倒くさい!!やってられるか!!税金とか会計とか大っ嫌い!!!
という方もたくさんいらっしゃいます。
そういう人は、絶対的に会計ソフトを使うことをお勧めします!
理由は以下です。
- 領収書の計算、帳簿の作成が自動でできる(経費の入力だけすればOK)
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- 税務署に行かなくても申告できる
- 青色申告を活用すれば、会計ソフトの使用料を払っても自分でやるより安くなる!
特に4つ目の理由は大きいです。
面倒臭がりの人は青色申告ができず、控除のない白色申告になります。
その白色申告を自分でするより、利用料を払って会計ソフトで青色申告をしたほうが圧倒的にお得になるからです。しかも楽!
使わない理由ないです。以降、元国税局職員もおすすめする会計ソフトを紹介しておきます。
会計ソフトfreee
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永年無料 | やよいの白色申告オンライン | なし |
- 基本的な記帳(帳簿作成)
- 確定申告の書類作成
- 帳簿・レポート集計
まとめ
農家の方の確定申告と経費についてまとめました。
確定申告、税金は面倒なことが多いです。
ただし、面倒だと思い税金を学んでいないと、一生高い税金を支払わされることになります。
もう確定申告の時期は迫っています。
しっかりと本記事を読んで経費を学び、税金に悩まない生活を送ってください!
▼節税の王道!ふるさと納税!▼
ふるさと納税ってどれくらい節税できる?サルでも分かる仕組みと限度額計算
▼個人事業主は全員やるべき!青色申告▼
商工会の青色申告会のセミナーを受けてきた!メリットは?会費はいくら?
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