税金を安くしたい――。
その願いは全個人事業主&フリーランスに共通の願いですよね。
新年明けて2月にでもなれば『今年はいくらになるんだろ……』とソワソワされる方も少なくないでしょう。
今回は、個人事業主、フリーランスなら誰でもできる共通の節税方法【青色申告10万円控除の仕組みと実践方法】についてお話しします。
キック(@kikumer)
財務コンサルで個人事業主の確定申告2000人をサポート(記帳代行)。現在はフリーランスとして活動中。毎日ブログ書いてます。数年後に家族で世界一周する予定。
青色申告とは?
青色申告という制度は簡単にいうと「かっちり正しく申告してくれたら税金安くするよ!」という制度です。
一定の水準で記帳を行い、それに基づいて正しい申告をしている人に適用される制度です。
特別なことをしないノーマルな申告のことを白色申告というのですが、これに対し青色申告は決められた手続きを踏めば税金を軽減してくれる効果があります。
国は正しく計算された税金を徴収するという命題があるため、そのために「より正確な申告をしてくれた人は税金を軽減しますよ」という制度を用意しているということなんですね。
青色申告10万円控除って?
では次に、青色申告10万円控除についてです。
青色申告10万円控除はごく簡単に説明すると
個人事業主なら誰でもできるとっておきの節税対策!
です。
なので結論から言うと、あなたが個人事業主なら絶対やった方がいい節税対策です。
青色申告は
- 事業所得
- 不動産所得
- 山林所得
がある場合に使えます。
要するに
自営業を営む人が受けられる税金を安くするための控除制度!ということですね。
- 飲食店
- 建築業の一人親方
- 美容院オーナー
- フリーランス
- 保険の外交員
- 農家
- 漁師
などなどの事業主、不動産や山林によって収入を得ている人のことになります。
青色申告には2種類ある?
仕組みややり方をお話しする前に、青色申告そのものについて、もう少しお話しさせてください汗
実は、青色申告といっても控除の種類には2種類あります。
- 青色申告10万円控除
- 青色申告65万円控除
です。
なんとなく聞いたことあるという人は多いかもしれません。
税金の知識がない人でもなんとなく想像できるとは思うのですが、控除額が多い方、つまり青色申告65万円控除の方が節税できる金額は大きいわけです。
簡単ではありますが、手続きに必要なものを比較してみました。
青10万 | 青65万 | |
手続き |
|
|
さっと見ていただいてなんとなくお察しの通り、青色申告65万円控除は提出書類や手続きが必要となってくるため、とにかく面倒臭いんですよね。
しあkし、青色申告10万円控除であれば、事前申請を青色申告しようとする年の3月15日までに(もしくは開業後2ヶ月以内)に提出して、損益計算書(比較的簡単)さえ出せば、翌年の申告から10万円控除が受けられます。
簡易帳簿は通常の白色申告でもどっちみち必要なため、青色申告は事前申請だけでできてしまうということなんです。だから誰でもできるんですね。
なので今回は、誰でもできる気軽な節税方法として、青色申告10万円控除についてのみ解説をしていきたいと思います。
青色申告の仕組みを解説!
あ、青色申告10万円控除とはいっても実際に税金が10万円安くなるということではないです。
ここ、誤解してる人多いので仕組みも踏まえて解説しておきますね!
青色申告10万円控除は10万円税金が安くなるわけではない?
まずは下の表を見てください。
この図は一番オーソドックスな申告(白色申告)の仕組みを表しています。
計算式はこんな感じ↓
で、この課税所得に税金が5〜45%でかかって来るというのが確定申告の簡単な仕組みとなるわけです。
続いて青色申告10万円控除の場合です↓↓
税金がかかる部分(課税所得)の範囲が10万円減るのであって、税金が10万円減るということではないということ?
それは税率によって変わるんだ!
所得税率が最低の5%の場合なら、住民税の10%(一律)と合わせて15,000円の節税になる!所得税率10%なら2万円の節税!
で、この所得税率は所得の大きさによって決まるんだ!
まあややこしいので具体例を用いて理解してみよう!w
青色申告の節税例
例えば年収250万円の人がいたとします。
確定申告をする時に経費は100万円使った、控除(所得控除)は70万円だったとします。
するとこのようになりますよね?
課税所得と言われる税金がかかる部分が80万円になりました。
ということは、かかる※税率は5%になります。
つまり4万円の所得税ですね。
ちなみに住民税は10%なので合計の税金はざっくり12万円ということになります。
では次に青色申告10万円を使った場合も見てみましょう!
先ほどの図と同じ仕組みな訳ですから10万円控除されて課税所得の部分が10万円減りますよね?
で、同じ5%をかけると所得税は3,5000円。住民税も同じ10%で7万円となるので合計105,000円の税金。
つまり
年間15,000円の節税ができたということになります。
これで青色申告10万円控除の仕組みをご理解いただけたと思います。
- 10万円控除であれば、最低税率の5%であったとしても約15,000円の節税が可能。
- 65万円控除では最低税率でも97,500円も節税できます。
65万円控除なら所得税が32,500円、住民税が65,000円の節税額というわけですね。
【青色申告で節税できる※税率(所得)ごとの金額早見表】
青色申告10万円控除 | 青色申告65万円控除 | |
税率5%(所得195万以下) | 1.5万円 | 97,500円 |
税率10%(所得195万〜330万) | 2万円 | 130,000円 |
税率20%(所得330万〜695万) | 3万円 | 195,000円 |
税率23%(所得695万〜900万) | 3.3万円 | 214,500円 |
税率33%(所得900万〜1800万) | 4.3万円 | 279,500円 |
税率40%(所得1800万〜4000万) | 5万円 | 325,000円 |
税率45%(所得4000万〜) | 5.5万円 | 357,500円 |
※参照:国税局HPの所得税率表
青色申告の税金以外のメリット4つ
青色申告をすることによって税金が軽減されることがわかったと思います。
これだけでも十分な青色申告ですが、実はまだ青色申告のメリットはたくさんあるんですね!
- 保育園料が下がる
- 母子手当が上がる
- 公営住宅の家賃が下がる
- 国保の保険料が下がる
保育園料の軽減
子供の保育園料というのは、実は両親の所得によって変わります。
年収が高い世帯と、平均の世帯では払う保育園料に違いが出るんですね。
で、これがどうやって決まるのかというと実は年収ではなく、住民税で決まるんです。
引用元:http://www.city.naha.okinawa.jp/cms/kakuka/kodmomirai/kourituninnkahoikusyo/H30%20nyuusyoannnai/P.38%20hoikuryou%20kizyunnhyou.pdf
『所得割額』と書いているのが要するに住民税の金額のこと。
3歳児未満の第一子であれば住民税が40万以上の世帯と非課税の世帯では月に53,000円もの開きがあることがわかります。
ここから分かる通り、住民税を下げることができる青色申告によって、同時に保育園料も軽減できる効果があるということなんですね!
母子手当が増える!?
実は青色申告をすることによって、母子家庭(父子家庭)がもらえる児童手当にも大きな影響があります。
先ほどの例を使って説明していきましょう!
これがいわゆる確定申告の仕組みですよね。
そしてこの所得を減らせば、母子手当は増えるということになります。
要するに所得は収入から経費を引いた額をいうため、「所得=儲け」と考え、儲けが少ない人にはたくさん母子手当がもらえるようにしますよーという制度があると考えればOKです。
ちなみになんで青色申告控除が『控除』という名前なのに所得を減らせるの?と勘のいい人は疑問に思ったと思います。これは青色申告控除が確定申告上では経費としての枠に該当するため、所得を下げることができ、結果、母子手当に多大な影響が出るということになるからなのです!
ちなみに母子手当の青色申告による受給金額の変動は人によって変わりますが、僕の所得で仮に青色申告65万円控除をしたとして計算すると、年間125000円も母子手当が増えるという計算になりました。
青色申告おそるべし!
公営住宅の家賃が軽減される!?
実は青色申告の恩恵は公営住宅の家賃にまで影響します!
こちらも母子手当と同じく『所得』によって変動します!
引用元:http://www.cjkk.or.jp/0309keisanhoho/
仕組みとしては母子手当とほぼ同じです。
青65万控除なら、年間で5万円ほどの差額が出てくることもよくあるので是非とも公営住宅にお住いの事業主の人は青色申告で申告しましょう!
国保の保険料も下がる
国保は地域によって多少誤差はありますが、基本的に所得によって算出されるため、所得を減らせば保険料も下がります。
詳しくは地域別国保保険料算定表をご覧ください。
個人事業主は全員活用すべき!
わりとサクッとまとめてみましたが、これが青色申告10万円控除の概要です。
特に難しい手続きもなく、事前申請とPL(損益計算書)さえ出して帳簿だけつけておけば特に問題なく10万円控除が受けられます。
青色申告10万円控除に必要なのは
- 青色申告承認申請所をその年の3月15日までに税務署に提出しておく
- 簡易帳簿(法廷帳簿)をつけておく
この2つだけです!
ちなみに、帳簿のつけ方がよくわからないという人は下の記事を参考にしてください↓↓
面倒なら会計ソフトを活用しよう!
とはいっても、帳簿つけるのも面倒くさいし事前申請出しに税務署に行くのも面倒臭い!
という人は会計ソフトを利用しましょう!
無料で青色申告65万円控除ができる!?
なんと青色申告を無料で請け負ってくれる会計ソフトがあります。やよいの青色申告オンラインという会計サービスです。
しかも10万円控除ではなく65万円控除。
さっきの10万円控除が15,000円の節税効果だったとすると、65万円控除では97,500円もの節税効果が見込めます。この差は大きい。
このサービスは初年度無料となっているので、自分で一生懸命経費の整理して、帳簿付けしなくもてソフトつかってさくっと節税できてしまうんですね。
これは試さない理由がないのでぜひ使ってみてください!
電話、チャットサポート付きのサービス
ちなみに右も左も分からないという人は電話サービス付きの会計ソフト会計ソフトfreeeをおすすめします。
年間9,800円ですが、初月は無料で試せるため、試しに使ってみましょう!
こちらも青色申告65万円控除が知識がなくてもできるようになっているため、9,800円以上は余裕で節税できる可能性が高いです。電話サポートもついているので会計やこういった手続きが苦手な人はこっちの方がいいでしょう。
いずれにしても面倒な手続きなくさくっと節税したい人にはオススメ!
\初月無料!/
元国税局職員もfreeeをオススメ
国税局時代、freeeの研修講師もやった俺がサービスについて言及しとく!
弥生のスタンドアローンは料金高くてクラウド版は使えんので俺的には会計ソフトfreeeの方がおすすめや。
freeeだと、銀行・クレカ連携させれば自動仕分けしてくれるし、料金安い。スマホアプリでも使えるからどこでも見れる。
まあ、俺がfreee使ってるからってのもあるけど。個人事業主やフリーランスにはfreeeをおすすめしとくで!
とのことでした!僕も実際に使ってみて、なんとなく会計ソフトfreeeの方が多機能で使いやすいなとは感じました。
とはいえここは人によるとは思いますので、どっちも試しみてもいいかもしれませんね!
とにもかくにも、自分でやるにしても会計ソフト使うにしても、少なくとも青色申告10万円控除はみんなにやってもらいたいなと思います!
ぜひこの機会に挑戦してみてください!
追記!青色申告についてこの情報も知っておくと得だよ!というものをまとめておきました
PS1.今年の確定申告について
現状まだ白色申告という方は年明けの申告では白色申告しかできません。そういう方はこの年明け2019年の3月15日までに青色申告の事前申請を税務署に提出しておいてください。次の申告の時に「やっといてよかったああ!」ってなりますので!!
PS2.住宅ローンの借り入れがある人について
住宅ローンは前年の所得などに応じて借りられるかどうかが決まったりします。来年ローンで住宅を買う予定の人は場合によっては青色申告をしない方がいいかもしれません。もちろんケースバイケースですのでFPや税務署で相談するのがいいでしょう。
PS3.青色申告のメリットって特殊例ですがまだあります!
【まだ青色申告してないの⁇】
✅青色申告のメリット
✔︎10万or 65万の控除を受けれる
→白色は控除ない✔︎赤字になったら、翌年からの3年間利益と相殺し、利益を少なくできる
→白色は赤字くりこせない✔︎親族の給与を全額経費にできる(届出必要)
→白色の場合上限あり#税金勉強しよう— アナ・コンダ💴節税対策のプロ (@read_my_will) 2018年12月5日
損失の繰越について
たとえば飲食店を開業した時に、最初の改装費で700万円使ったとします。飲食店の開業初年度で売り上げが400万とかであれば、『損失の繰越』と言って、翌3年間は赤字の繰越ができるようになっています。
つまり300万の赤字であれば100万ずつ3年間に赤字金額を分散すれば、あくまで概算ですが3年間は毎年約15万以上節税できるという計算になります。
親族の給与を全額経費に!専従者控除について
事業を何らかの形で手伝ってもらっている場合、給与を払っているという程で親族への給与を経費にすることができます。これを専従者控除と言います。
白色申告(通常の申告)でもできますが、上限があり、青色申告であれば上限なしで親族に給料を払い、それを基本的に全額経費で落とせるので、青色申告ですると節税の幅が大きく広がります。
2020年から税制が変わります
みなさーん!
今年から色々税制変わりますよー!
商工会で聞いてきました^。^
・基礎控除が38→48万円
・青色65万控除→55万控除
・電子申告で10万円控除
・今年の10月1日から消費税10%特に個人事業、副業の方は電子申告で青色しないと税金10万以上余裕で損するのでやりましょー!
消費税は乙!
— キック | 主夫リーランス (@kikumer) 2019年7月25日
・基礎控除が38→48万円
・青色65万控除→55万控除
・電子申告で10万円控除
・今年の10月1日から消費税10%
特に個人事業、副業の方は電子申告で青色しないと税金10万以上余裕で損するのでやりましょー!消費税は乙!
電子申告と青色申告の両方をやらないと最大限の節税ができないですよ!ってことです。
この点、会計ソフトを使えば電子申告にしてくれるので安心ですね。
期限後申告について
去年以前の申告まだやってない!って人はやっておきましょう。
前にチュートリアルの徳井さんが問題になってましたよね汗
個人事業主で数年申告しないのは脱税にはならないのですが、延滞税がプラスでかかってくるのでいいことはありません。
期限後の申告の場合、事前申請を出していても青色65万円控除は受けられませんが、10万円控除なら受けられるので、今からでも取り組みましょう!